ドラマを読み解くキーワード:鷲津政彦の眼鏡(メガネ)
鷲津政彦の眼鏡がドラマ展開の起伏に役立っているという指摘は多いようだ。ハゲタカに限らず眼鏡は、人物の表情にアクセントをつけるのに有効な小道具である。ゆえに映画やドラマでも昔からよく使われてきた(安いしね)。
シャレードのオードリー・ヘプバーン、元祖スーパーマンのクラーク・ケント(変装用だっけ?)、冬ソナのペ・ヨンジュンからメガネっこ萌えまで、例をあげればきりがない。
ドラマでは鷲津がファンド・マネージャーの仕事のオン、オフ切り替えに使っているというが、本当だろうか。全6回を精査するわけにもいかないので第1回と第6回で確かめてみよう。ちなみに○が着用、×が非着用である。
第1回
1 ホライズンNY本社(東京行き指令を受ける) ×
2 東京上空のヘリの中 ○
3 ヘリから乗り移ったリムジンの中(ここだけサングラス) ○
4 ホライズン・ジャパンのキックオフ・ミーティング ○
5 バルクセール ○
6 バルクセールの後、芝野とコーヒーを飲む ×
7 ホライズン・オフィスでデューデリ ○
8 料亭で飯島と会談 ○
9 客を装い西乃屋旅館を視察 ×
10 西乃屋主人と交渉 ○
11 オフィスに戻る鷲津(玄関で由香がアポなし取材迫る) ○
12 オフィスの窓から景色を眺める鷲津(回想している) ○
13 土下座する金策尽きた西乃屋主人とオフィスで ○
14 去る西乃屋主人を上階から眺める ×
15 仕事を終えオフィスからでる(芝野が待ってる) ×
これだと、たしかにホライズンの人間としてオフィスタイムには眼鏡をかけ、それ以外には外しているように思える。念のため第6回も見ておこう。
第6回
1 入院中、ベッドの上 ×
2 リハビリ訓練中 ×
3 病室、ベッドの上でホライズンと関係解除契約を読む ×→○
4 リハビリ訓練中(由香が訪ねて来る) ×
5 リハビリ中、体育館で芝野と会談 ×
6 さる路上で村田、中延にEBOを指示 ×
7 鷲津ファンドへの出資を各金融機関に依頼交渉 ○
8 MGS銀行副頭取・飯島と会いロビー活動を依頼 ○
9 雨の中、三島製作所を車の中から眺める ○
10 教会で西野治と会う ×
11 大木正三郎の墓を参る ×
12 ラウンジで大空の技術者・加藤と会う ○→×
13 ホライズン社で大空電機社長の大賀と会談 ○
14 あけぼの光学創立記者会見 ×
15 故三島製作所社長への報告に行く車の中 ×
う~ん、一貫性があるような、ないような。
ややこしいものから見ておくと、まず3の病床で契約書類に目を通すところ。画面では最初眼鏡はしてなかったのが、書類を渡されるとサイドから取り出した眼鏡をかけて読み始める。これって、老眼か遠視の人の動きだよね。近視なら文字読むのに眼鏡する必要ないもの。年齢からいって鷲津が老眼とは考えにくいので、遠視ということか。
12は、レンズ研磨の世界的技術を持つ大空電機カメラレンズ事業部の技術者・加藤にEBOへの参加を説得するシーンである。鷲津は人間みな0.1%の存在だのネジ1個だのと話した後、やおら眼鏡をかなぐり取りこう言う。「加藤さん、賭けてくれませんか? 私と芝野に」、……イマいちよくわからない。
むりやりこじつければ、眼鏡をかなぐり取る前はハゲタカとして話をしていて(対話は加藤が「ハゲタカに一度聞いてみたいことがある」ということから始まっている)、眼鏡を外してからはハゲタカではなくなり、大木昇三郎に傾倒した一個人として加藤に対しているということなのか。
そうだとすると一応話は通じる。3はハゲタカ同士が契約しているとも言えるからだ。どうみても老眼か遠視のようにしか見えないけれど。
この仮定だと鷲津は眼鏡をかけるとハゲタカに変身し、外すとハゲタカ以外の何者かになることになる(地の鷲津に戻るということではない)。眼鏡をかけると変身……ウルトラセブンか? ハゲタカになっていられるのは3分間だけだったりして。